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2004/03/04
第14号
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◆◇ <成果主義は最悪>
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いつもご購読いただきありがとうございます。
過日、何の先入観もなく書店でたまたま見かけて購入した書籍の中に東京大学大学院経済学研究科教授 高橋 伸夫著「虚妄の成果主義」という本があります。
最近、インターネットで調べましたら、この書籍がビジネス部門のベストセラーになっていてチョットびっくりしました。この手の地味なテーマの本が売れていることが意外だったからです。
これって、成果主義人事を導入したけれども、うまく機能していない企業や成果主義人事に疑問を抱いているビジネスパーソンが多いことの裏返しではないでしょうか。
本書では成果主義よりも日本型年功制のほうが優れていることを明快に説いています。
印象的な部分を少しだけ抜粋します。
--------------------------------------------抜粋開始-------------------
●年功制でも差はついてきたでしょう?
わざわざ、成果だ、業績だ、と騒がなくても、実は、昇進に関しては、差なんかとっくについていたのである。つまり、年功序列的と言われる多くの日本の会社でさえ、40歳代ともなると明らかに昇進・昇格・昇給で差がついていたのである。そんなに差のつく人事システムなのに、入社早々の時期には、自分の会社は年功序列だと思っているのだ。
●給与でなく次の仕事の内容で報いる
日本型人事システムの本質は、給料で報いるシステムではなく、次の仕事の内容で報いるシステムなのだということである。これが繰り返されるとどうなるか?そう、仕事の内容自体に、加速度的に差がついてくるのである。
昇進・昇格・昇給もその後を追って、それに比例する形で差がついてくる。
これは正確な意味での年功序列ではなく、「日本型年功制」とよぶべきものなのである。
●人は金のみにて働くにあらず
経済的パフォーマンスでみても、金銭で報いる仕組みよりも、「次の仕事の内容」で報いるシステムのほうが人件費的には安上がりなのは明らかである。
その上、動機づけの面でも優れている。なぜなら、人は金のために仕事をするのではないからである。本来、人は面白いから仕事をするのだ。
●金銭的報酬の負のインパクト
業績を条件として与えられる金銭的報酬は、確かに個人の動機づけに「影響を与える」という意味では重要ではある。しかし、同時に、金銭的報酬とパフォーマンスが連動していれば、仕事は金銭的報酬を得るための手段と化してしまう。つまり、内発的動機づけは低下してしまうのだ。
しかも金のために働くということは、ある一定の基準をクリアできるように働くということであり、ベストを尽くすことはなくなる。基本的に目の前の目標だけが気になり、周囲との競争には本質的に無縁となる。だから、成果主義のやっていることは最悪なのである。
●あとがき(教え子に向けて)
君は、「××プロジェクトは私がやった仕事です」あるいは「△△は私一人でやりました」などとはけっして口にしてはいけない。実際にはそうかもしれないが、例え本当だとしても、それを口にしてはいけない。
それを口にした途端、状況は一変してしまう。「だったら、一人でやれ」と周りの人は反応するだろう。そして君は悟るのだ。コピーをとってくれたり、お客さんにコーヒーを持ってきてくれたり、郵便物をポストに入れてくれたり、席を外している時にかかってきた電話をとってくれたり、・・・
要するに、まるで空気のように君をサポートしてくれる人がいたおかげで、君は他の人よりも創造的で付加価値の高い仕事に集中できていただけなのだ。
---------------------------------------------------抜粋終わり---------
日本の企業で成果主義型経営を行って機能している稀有な事例としては、株式会社ミスミが挙げられます。
「営業マン」「人事部」など、通常の企業であれば「あって当たり前」ののものがミスミには存在しません。カタログ販売が基本であり、人材採用や情報システムの開発と運用などの業務はアウトソーシングしています。
組織の前にビジネスの創出ありきというコンセプトのもとで、タスク(仕事)単位に「チーム」が編成されています。社内起業家がたくさんいるようなイメージですね。
ミスミの経営を貫くキーワードは、「購買代理商社」「持たざる経営」「オープン」です。
顧客が抱える不便さを解消し、それを価値として提供する。それが、ミスミのビジネス・ビジョンであり、それが必然的に「持たざる経営」へと繋がっています。
従来の経営モデルでは、事業の成長に合わせて人を含めた経営資源を社内にどんどん抱えていましたが、それでは時代の変化、顧客の要求に柔軟に対応できないゆえの経営戦略です。
このように成果主義を機能させるためには、人事評価制度だけではなく、組織体制や事業内容、顧客視点での経営戦略など抜本的な改革が必要になるのです。
ところが、大企業を中心に取り入れられた成果主義というものは、顧客のことや社員のことを考慮してのものではなく、どうも、リストラや総賃金の抑制に大きな目的があったようです。評価制度だけを変えて、その他の部分は従来どおりの会社が多いのではないでしょうか。
○経営陣や人事部は、不況で経営が悪化しているため何か手を打たなければならないと思う。
○マスメディアが成果主義を礼賛する。
○コンサルタントが成果主義導入を勧める。
○社内で評価制度検討が行われる。
○成果主義導入に疑問を持っている社員でも、強く異議を唱えることができない。(自分が成果を出す自信のない者と思われてしまう可能性が高いから)
○形だけの成果主義導入が行われる
このように、経営陣の勉強不足、経営哲学のなさによる安易な成果主義導入が多いと思われます。
中小企業の経営陣は、マスメディアの表面的な報道や大企業の動向に惑わされることなく、制度変更がすぐ利益に結びつくものではないことを肝に銘ずるべきです。
重要なことは、事業内容の見直し、売るための仕組みづくりの再構築、になります。社員に責任転嫁しても良い経営は実現できないのです。
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